未知への恐怖を取り除く


「事実を伝え、軽く触れさせる」

おはようございます。
つなぐ経営コンシェルジュの小室です。

仕事の関係で日曜日に東京入りし、昨日は京都に一泊しました。
心配していた台風の進路がそれてくれたおかげで、本日はようやく晴天です。

京都の街は外国人観光客であふれています。
昨日は、道に迷っている若い男性に声をかけられました。
聞くと当日の宿を探しているとのこと。
しかもまだ予約もしていないので、そちらに空きがあるのかもわからないそうです。

すぐ隣に旅館があったので、入って聞いてみました。
若い4人のアメリカ人男性が今日の宿を探されているようですが、受け入れられますか?」

すると宿の主はこのように答えました。
「日本語が話せない人はお断りしている。説明できないし、トラブルがあったら大変だから。」

夜、外で食事をとっている時には、2人の外国人カップルが入店しようとしてきました。
なかなか混み合っているお店ではあったのですが、一番奥のテーブル席が空いています。

そこで店主はこう答えました。
「No seat」

外国人男性の方は、奥の空いているテーブルに目をやりながら、やるせない表情で店を出ました。
私は店を出てから気づいたのですが、そのカップルは隣のお店で食事をしていました。

色々思うところはあるのですが、ここでお伝えしたいのは、
『人は、知らないことに対して恐怖を感じやすい』ということです。

外国人を受け入れた経験がないから、時間をともにしたことがないから、
彼らが何を考え、どのように行動するのか、わからないわけです。
何をするかわからない人を受け入れるのは怖いと感じるのです。 

勿論、背景に文化的な違いがあるわけですから、考え方やコミュニケーションは異なります。
ただ、その違いが何なのか、なぜなのかを知っていれば、
そして身をもって体験していれば、恐怖感は取り除けます。

こうした反応は、社内で新しい取り組みをはじめたり、新しい学習をはじめる際にも、よく起こります。

「明日から新しい取り組みを始めることにしました。」
「電話に出たら、まず自分の名前を告げること。そして相手の名前を最低三回呼ぶこと」

このように唐突にやり方だけを告げられた部下達は戸惑います。
たとえば、こんな具合です。

「えっ、急にどうして?何のために?」
「自分の名前を告げて、後から何か言いがかりをつけられたらイヤだな。」
「お客様の名前を呼び間違えたらどうするんだよ。」

では、そうした知らないことに対する恐怖感を和らげるには、どうしたらいいのでしょう?

「自分の名前を告げることで、相手に安心してもらい、信頼感につながりやすくなるんだ。」
「実際にこれを始めた結果、お客様からのクレームが減った事例があるから。」
「お客様のお名前をお呼びするのも同じだよ。親近感がわくからね。」
「君だって、何か頼み事をする時、知らない人に依頼するよりも、友人に話す方が安心だろ?」

このように、「方法」の詳しい説明をする前に、まずは「事実」や「理由」を説明するのです。
「知らない事」を「知っている事」に変えてあげれば、恐怖感はぐっと下がりますから。

そして、説明の後に、軽く見学・練習させましょう。

「いいかい。まずは私がやって見せるから、そこで聞いていてごらん。」
「次は君の番だ。ここで見ているから、次の電話に出てやってごらん。」

あるいは、上司がお客様役になって二人でロールプレイ的に練習してもいいでしょう。
このように新しい事を受け入れるハードルを下げることで、スムーズな導入ができます。


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