新しい取り組みを組織に定着させる


『趣旨とやり方を明示する』

昨日、日本行動分析学会から送付された研究誌を眺めていて、目についた事例報告がありました。

「ゴミを出さずにゴミ問題を解決する」を合言葉に、2003年9月に日本で初めてゴミを出さない町づくり宣言をした徳島県勝浦郡上勝町の取り組みです。

人口2,000人弱の山奥の町がその宣言に至った背景には、ダイオキシン問題等の対策に係る法律改正や町の財政事情などの要因があるのですが、

取り組みの内容としては、主に次の二点を進めることが決められました。

  • 町で一か所のゴミステーションに住民各自がゴミを運ぶこと。
  • ゴミステーションでは持ち込んだゴミを再利用可能なように35種類に分別すること。

生ゴミはいっさい収集せず、各家庭でコンポストを使ってたい肥化することを奨励し、そのために必要な機材の購入には補助金を出しています。

ゴミステーションは毎日朝7時30分から午後2時まで開けており、この間であればいつでもゴミを持ち込めます。
さらにスタッフを常駐させているので、分別の仕方がわからなければいつでも教えてもらえるというわけです。

また、分別されたゴミはその行き先が明示されています。
たとえば、透明の瓶と色のついた瓶を混ぜてしまうと透明の瓶が再生産できないから色ごとに分けているというように、分別する理由や根拠がわかるようにされています。

つまり、ゴミの分別率やその正確性を向上させるために、住民にとってほしい行動とその趣旨を意識的に明示しているというわけです。

こうした取り組みにより、上勝町によるリサイクル率は、全国平均が30%以下であるのに対して、生ゴミのたい肥化を除いて最高で77%を記録しました。

特に新しい取り組みを始める際には、実際に行動する人たちに、「やり方がわからない」、「やる意味がわからない」、などのストレスを極力感じさせないようにすることが、成功のひとつの秘訣です。

あなたの組織でのさまざまな取り組みにも、応用できることはありませんか?


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