『警戒を解き、信頼を得る』

前回は、新しいことを学ぶ際には、その新しい情報の提供者への信用が前提となること、
そして、信用を築くために返報性の原理の応用が有効であるとお伝えしました。

本日は、学習効果を高めて、組織を変える下地を作るために、まず信用を得る必要があるという事について、もう少し説明を加えたいと思います。

心理カウンセラーが人間関係の距離感を表す際に、次のような分類をすることがあります。
「警戒 ⇒ 疑惑 ⇒ 信用 ⇒ 信頼」

最も人間関係が希薄な「警戒」レベルでは、
相手が自分に対して何らかの危害を加えようとしているのではないか。」
「何かコトが起きたらすぐに、戦うか、逃げるかして自分の身を守らなくては」
という、動物としての原始的な思考が強く働くことが明らかにされています

部下から見て、何を言い出すかわからず、いつも苦難ばかりを強いる上司との関係などが該当します。

この状態では、新しい刺激(=上司が新たな指示や発言をする)に対して過剰に反応(=戦うか、逃げるかと考える)します。

ですので、学習にとって必要不可欠な「(新たな情報を)受け入れる」「理解しようとする」脳の働きは弱められます。

こうした状況において「やむなく従う」という選択をすることは多々あると思いますが、「受容」「学習」しているわけではないので、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言わんばかりに、その上司からの強制が解かれると同時に、部下は行動しなくなります。

「疑惑」レベルも、一応話は聞いてもらえたとしても、新たな情報が素直に受け入れられるわけではないという点では同じです。

この心理的な距離感が「信用」「信頼」レベルになってはじめて、「この人の言う事だから素直に聞いてみよう」「きっと間違いないはず」という学習の下地が整うというわけです。

ちなみに「信用」は、これまでの相手の言動を認めている状態、
「信頼」は、この先の言動も頼りにしている状態を指します。

昨日の補足としてお送りしましたが、人の育成やチーム変革において、いかに人間関係が大切か、ご理解が深まりましたでしょうか?

異動したてや転職したての時期に、「自分がこの職場を変えてやる!」などの意気込みが空回りしやすいのは、こうした人間関係づくりへの理解が乏しい事にあると、よく感じます。

信頼関係を築かれるのを待たずして相手を変えようとしても、それは難しいことです。

あなたには、変えたいと思う状況がありますか?
もしあるとしたら、それに関わる関係者と信頼関係を築くために、いったい何をしますか?