「相手の求めている結果を提示する」

先日、私の行動分析学セミナーをご受講いただいた方から、このような質問を受けました。

『娘がピアノの練習をしません。
昨日さっそく「教室で上手に弾けたらかっこいいよね!」と、
うまく弾けているところをイメージさせる手法を使いましたが駄目でした。
どうしたら、練習するようになるでしょうか・・・。』

本人に具体的な良いイメージを想像させる、とても良い声がけだと思います。

しかし娘さんの行動は変わらなかった。

私は考えました。
もしかしたら、(現時点では)教室で上手に弾けることを望んでいるわけではないのでは。

私の子供たちの話になってしまって恐縮ですが、
以前にプールレッスンに通っていた頃は、練習後にいつもアイスを買い与えてました。

そうして『プールレッスンに通う』行動を続けるうちに、
一緒に遊べるお友達ができて、先生からほめられ、
私からも「今日もがんばったね」「水の中で目が開けられるようになったんだ」など、
『プールに行けば楽しい結果が待っているんだ』『うまくなると楽しい』といった経験を積んでいきました。

そうすると、『プール行きたくない』というかつての反応は消えます。
『プールに通う』ことが、楽しい習慣に変わっていったからです。
『次は25mだね』 『息継ぎもできるようになったらいいね』といった話にも乗ってきます。

何を言いたいのかというと、
上手になって、周囲から拍手喝采を浴びて、先生や親からほめられて、その時に初めて、
「上手になる=楽しい結果が生じる」というイメージがわく子もいるのでは、という事です。

アイスを買い与えるような行為は、子を「物で吊る」ようで抵抗を示される方もいるのですが、
(心理学用語で『外発的動機付け』といいます)
これが必ずしも悪いというわけではなく、
特にはじめての行動をスタートさせるきっかけとしては有効なケースが多いです。

なぜなら、行動を始める、そして続けるには、本人が望む良い結果が生じることが不可欠だからです。

初期段階では、その良い結果を外から意図的に提示することで行動を始めさせ、
本人が心の内から『楽しい、続けたい』と思える経験を積むまでサポートすることで、
新たな行動を身につける可能性を高められるのです。(行動レパートリーの拡大)

この原理は、子供に限らず成人でも同様です。
あなたの部下育成に活かせる場面がないか、ぜひ考えてみてください。

余談ですが、私の子供たちは『プール後にアイスを食べる』行動も習慣化され、
昨日も、朝里クラッセホテルのプールで遊んだ後、おいしいソフトクリームを食べていました。(苦笑)