「批判も非難もしない。苦情も言わない。」

人間関係の先覚者デール・カーネギーは、名著『人を動かす』の中で、
アメリカ・ジャーナリズムの古典のひとつといわれている『父は忘れる』という一文を読むようにすすめています。

これまで息子に辛く当たっていた父親が、悔恨の念に迫られて反省する様が描かれています。

  • 朝、顔を洗った後、タオルできれいに拭かなかった事を叱った。

  • 持ち物を床の上に放り投げたといっては、怒鳴りつけた。

  • 食事中にテーブルに肘をつくなと言って、叱りつけた。

  • 友達と遊ぶ公園の横を通り過ぎて駅に向かう父親に対して、「お父さん、行ってらっしゃい!」と言った息子を、しかめ面で「胸を張りなさい!」と言った。

  • その日の夕方、公園で泥だらけになって服を汚して遊ぶ息子を家へ追い返し、友達の前で恥をかかせた。

  • 夜、父親が新聞を読む書斎に入ってきた息子に対して「何の用だ」と怒鳴ると、息子は何も言わずに父親のそばにかけより、抱きついて、頬におやすみのキスをした。

その時、父親は急に、自分が取りつかれていた習慣に気づいたそうです。
まだほんの子供にすぎない息子を叱ってばかりいる習慣に。

決して息子を愛していないわけではないのに、
息子を自分と同列に考え、無理な事を期待しすぎていたのです。
素直さ、優しさ、子供らしい遊び、息子には山ほどの認められる長所があったのに。

私が感じるのは、大人の社会、とりわけ企業の中で同様の話がたくさんあるという事です。
たとえば、パワハラで訴えられた上司や、部下の離職がやまない職場の管理者などは、
「部下のためを思って厳しく言っていた」という人がほとんどです。

カーネギーは、こうも書いています。
「批判が呼びおこす怒りは、従業員や家族・友人の意欲をそぐだけで、批判の対象とした状態は少しも改善されない。」

人を非難するかわりに、相手を理解するように努めましょう。
どうして相手がそのような行動をするに至ったのか、よく考えてみましょう。

その方が相手を変えるには余程得策でありますし、
共感、寛容、好意といったポジティブな感情もおのずと生まれ出てきますので。