「具体的に、肯定的に、簡潔に、事実を表現する」

本日ご紹介する表現方法は、全米最大の児童福祉施設ボーイズタウンで開発された、行動分析学をベースとした子育てプログラム=CSP(コモンセンス・ペアレンティング)を応用しています。
発達障害の子供など、なかなか伝えることが難しい相手にも望ましい行動を身につけてもらう方法として世界中に広まっており、日本国内でも全国47都道府県の自治体や児童福祉施設に展開されています。

そしてこの内容は、子供だけでなく、大人にも大きな効果を発揮します。

以下のリンクは、CSPに関する私の過去の投稿です。
ご興味のある方はご参照なさってください。

▼CSPって何?
http://tsunagu-concierge.jp/2015/03/09/mailmagazine-backnumber-70/

▼なぜ部下のことを怒鳴ってはいけないのか。
http://tsunagu-concierge.jp/2015/03/10/mailmagazine-backnumber-71/

▼CSPの全体的な体系
http://tsunagu-concierge.jp/2015/03/11/mailmagazine-backnumber-72/

さて、本日のテーマは「相手に伝わる表現と伝わらない表現」です。

部下の行動を、抽象的な言葉を使わずに、具体的に表現する方法を身につけられると、お互いの誤解や行き違いを減らせ、あなたの言いたいことが伝わりやすくなります。

「だめだめ、そんなやり方じゃ」
「何やってんだよ!ふざんけてんのか!」

こうした表現って、具体的だと思いますか?
もしあなたが突然このような言い方をされたとしたら、「何が言いたいだろう?」と感じませんか?
でも実際には、このような表現を日常的に用いている上司はたくさんいます。

「具体的である」ということは、「客観的な事実を表現している」ということです。

そして客観的な事実の代表格である「行動」とは、「目で見たり、耳で聞いたり、数えたり」することができる人の動作のことです。

もう一度、その定義に従って次の表現を見てみましょう。

「あいつはダメだ。やる気がない。」

「ダメ」って目に見えないですよね。「やる気」って耳で聞こえないですよね。
これらは客観的事実ではなく、主観的感情です。

これに対して、行動、つまり客観的事実を表すのは、このような表現です。
「彼は昨日の日常点検の際、三項目の手順を飛ばした」

ではなぜ感情ではなく、行動を表現する必要があるのでしょう?

それは、両者の間でやりとりする言葉に対するお互いの認識にずれが生じずらいからです。
「日常点検を飛ばした」という「事実」は誰の目から見ても同じですが、その事実をもってして「やる気がないから」とか「忘れっぽい奴だ」といった解釈は分かれます。

事実や状況が具体化されるメリットはまだあり、問題への対応がしやすくなるという特徴があります。

次の部下指導の事例を見てみましょう。

否定的であいまいな表現:「小室くん、君はどうして言われた事をきちんとできないんだ」

肯定的で具体的な表現:「小室くん、作業点検表の注意事項を読んで、もう一度やってごらん」

どちらの表現が、部下に伝わりやすい内容だと思いますか?

客観的な行動事実を、具体的に、肯定的に、簡潔に表現することが、相手に伝える上で一番はじめに考えるべきことです。
否定表現だけでは、禁止事項は伝わっても、その替わりに何をすればいいのか望ましい行動の方法は伝わりませんし、学習の邪魔をするネガティブな感情が部下の心に芽生える可能性が高まります。